企画展「薬害を語り継ぐ」イベント報告 | ネットワーク医療と人権 (MARS)

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企画展「薬害を語り継ぐ」イベント報告

特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権 事務局 清瀬 孝介

10/17 「ミニシアター&トーク:スモン」

 企画展「薬害を語り継ぐ」は、企画展示と並行して、期間中の毎週土曜日に各薬害被害者団体の持ち回りで、ミニシアター&トークイベントが行われました。企画展初日の10月17日はスモン編。スモン訴訟を追った長編記録映画「人間の権利-スモンの場合」の上映に続いて、被害者の方のお話がありました。

 長編記録映画「人間の権利-スモンの場合」は1979年に製作され、被害発生から全面解決までのいきさつを追ったドキュメンタリーです。映像には、薬事二法の成立とスモン訴訟の全面解決を目指した被害者たちの闘いだけでなく、その激烈な身体症状に苦しむ被害者たちの姿も映し出されていました。彼らの鬼気迫る表情や発する言葉は、闘いの熾烈さを物語るに十分なものでした。

 次に、スモンからは離れ、企画展初日に合わせリバティおおさかを訪れていた薬害エイズ被害者遺族の上野和美氏があいさつに立たれました。上野氏は息子の岩崎孝祥さんを19歳で亡くされています。上野氏は「スモンの映画を見て、自分の闘いのことを思い出した。薬害の根絶を強く強く願う」と話されました。

 続いて、スモン被害者の方のお話がありました。矢倉七美子氏は「海外では劇薬指定されていたキノホルムを承認した国の責任は重い」と指摘し、「今後は薬に騙されないようなシステム作りが必要」と提唱しました。高町晃司氏は、被害者の現状について「国や製薬企業の協力が足りない」と指摘し、お二人ともに「二度と薬害を起こさないという気持ちを原動力に、今後も残された被害者のためにがんばる」と決意表明されました。

上野和美 氏(奥は岩崎孝祥さんのキルト)

矢倉七美子 氏

高町晃司 氏

11/28 「ミニシアター&トーク:薬害エイズ」


 11 月28 日のミニシアター&トークは薬害エイズ編。ゲストに薬害エイズ被害者遺族・上野和美氏を招き、「遺族」をテーマにトークイベントが行われました。
 まずは、上野氏と息子の岩崎孝祥さんの絆が描かれた、20年ほど前の映像が流されました。次に、大阪HIV薬害訴訟原告団代表・花井十伍氏より、薬害エイズのいきさつと遺族の状況についてお話がありました。薬害エイズの遺族は、当時の社会からの激烈な差別の中、エイズ末期の凄惨極まりない症状で苦しむ家族を看取り、そしてその体験を誰にも話せないという苦しい状況に置かれているが故に、今でもPTSDなどの症状に悩まされている遺族がたくさんいるということが報告されました。そして最近では、「遺族(あるいは家族、主に母親)=介護者」ではなくて、遺族も介護される対象であるべきだという考え方も徐々に広まりつつあることが紹介されました。
 続いて上野氏から、孝祥さんとともに闘った日々を振り返る講演がありました。終始涙を流し、声を震わせながら必死に言葉を紡ぐ上野氏から、遺族、特に母親が抱える怒り、悲しみ、悔しさ、自責の念……等々、数えきれないほどの様々な感情の一端を感じることができ、フロアの聴衆も胸が詰まり涙を禁じ得ない講演になりました。

 最後に、上野氏と花井氏によるフロアも交えたディスカッション形式の質疑応答が行われ、当時上野氏と孝祥さんがどうエイズと闘ったのか、さらにお話が深まり、貴重なトークイベントになりました。

12/13 「薬害被害と教育・学校について考えるシンポ」

 12月13日は、「教育は子どもたちに薬害を伝えているか 学校は子どもたちを薬害から守れているか」と題して、薬害に対する教育・学校の関わりについてのシンポジウムが行われました。

 第1部では、「始まりつつある薬害防止教育の実践と現状」というテーマで、小・中・高の実際の教育課程で、あるいは教員免許取得の過程で薬害がどのように教えられているのか、3人のパネラーより薬害防止教育の現状や実践例について報告がありました。

 第2部では、子宮頸がんワクチンが取り上げられ、その副反応による被害の実情と課題が報告されました。まずは実際に被害に遭った2名の女子高校生が登壇し、自らが受けた被害についての悲痛な訴えがありました。続いて、薬害対策弁護士連絡会所属の弁護士が子宮頸がんワクチン副反応被害の症例調査を報告し、被害者のために学校は何をするべきかという提言がありました。また、MMRワクチン被害の拡大防止と救済に尽力した元自治体職員が当時の取り組みを紹介し、子宮頸がんワクチン副反応被害者に対してどのような支援が望まれるのか、活発な議論が行われました。