「血液の安全性」の社会学的研究
-「薬害HIV」の多声的記述-
はじめに
第1章 血液事業における社会学的アンビバレンス -1970年代末から1980年代半ばの日本赤十字の場合-
(種田 博之)
第2章 薬害エイズ事件におけるクリオ転換と今後の血友病治療 (日笠 聡)
第3章 日本赤十字血漿分画センター前史概略 -北海道における血液事業の文脈から- (蘭 由岐子)
第4章 日本赤十字社における血漿分画事業の草創期の光と影 (山田 富秋)
第5章 医師を信じるということ -患者と家族は不確実性をどのように経験したか- (松原 千恵)
第6章 訴訟運動参加プロセスの再検討による「薬害HIV」の多声的記述 (本郷 正武)
第7章 患者・家族-医師の「関係」と社会的・歴史的文脈 -血友病治療体制の状況とその推移に着目して-
(南山 浩二)
第8章 「保因者」である女性たちの現実 -血友病の「保因者」女性への聞き取り調査の意義と課題-
(中塚 朋子・松原 千恵)
【資料編】
インタビュー・トランスクリプトの凡例
FAさん -日本赤十字において、血漿分画製剤の製造に携わっていた方
第1回 我々ができる/できないという判断をするのではない
第2回 われわれは患者さんがいる限りやめられない
FDさん -日本赤十字において、血漿分画製剤の研究に携わっていた方
第1回 その当時できることはやった
FFさん -元・研究者として血漿分画センターの運営に携わっていた方
第1回 解剖をしていた時は、血液製剤を作ることになるとはぜんぜん思わなかった
FGさん -日本赤十字において、血漿分画製剤の製造に携わっていた方
第1回 新しいことに取り組む高揚感がありました。製造所としてのまとまりもすごくよかった
NAさん -血友病看護に携わっていた元看護師
第1回 血友病の患者さんにとっては、血液製剤っていうのはもう命の綱に等しいかな、
って思ってるんですよね。その血液製剤の中に、まぁ逆に今度はその人の命を奪う、
そういうものが入っていた、なんか、何て表現していいんですかね、それはすごく悲しいですよね
PAさん -血友病患者でHIV感染者の方
第1回 いやぁ、なんかうまいこと説明しはるなぁ、っていう感じですね
RAさん -姉、母として血友病に関わる
第1回 たまたま血友病っていうくじをひいた家っていうか、私、であって
RBさん -妹、母として血友病に関わる
第1回 QOLの向上と反比例していく本人の自覚の薄さみたいなところっていうのも、
もっと稀薄になっていくんじゃないのかなっていう気がするんですね
RCさん -娘、母として血友病に関わる
第1回 実際結婚とか出産とかいうのが目の前に来てからやっと、初めてその認識したみたいな感じで