巻頭言 | ネットワーク医療と人権 (MARS)

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巻頭言


私の友人で、しょっちゅう「人生は家賃(家賃を稼ぐために日々働くこと)」と宣う人がいるが、本当に今の世の中、お金が回っていない。今年は「***ミクス」という言葉が巷に流行っていると聞くが、いまだに市井の小売店や飲食店は景気の恩恵を被っていない。いきなり気が滅入る話で恐縮するが、いろいろな場所・場面で私たちの家計や心理を圧迫する事態となっている。

MERSに関連する業界に引き寄せても、エイズ対策予算は、かつて2003年度109億円だったが10年後の2013年度は53.8億円と半減、科研費や各種補助金の減額や打ち切り、医療費の自己負担増大の大きなうねり、経済優先によるクスリのネット販売解禁=消費者の自己責任・リスク増大、等々、政治が悪いと言ってしまえばそれまでであるが、限られた牌(予算・経済状態)の中、一人ひとりが智恵やアイディアを必死に絞りだし、結束して声を上げていかなければならない時代だと思う。

今年MERSが開催したイベントでは、あまり縁がなかった人たちと繋がることができた。大阪人権博物館リバティおおさかを応援する企画「世界と自分を掴みに行こう」を2回行なって再認識したのは、それぞれの立場で同じように困窮して頭を抱えていることであった。しかしながら、リバティ応援イベントに関わった若い人たちと意見交換する中、彼らの経験や思いの強さに圧倒された。

彼らの人脈や世界観に驚くとともに、その発想力・企画力・表現力を如何に形として実現させるかといったことが、私の役割であると考え方が切り替わっていった。若い人たちのイベントに、わざわざロートルが出しゃばる必要は全くないと思うようになった。イベント開催準備をしながら、各自の立場や考え方が違っても、大同団結しそれぞれの役割を果たすことで大きなことを実現・遂行できると実感した数ヶ月であった。

本号が発行される頃は、まだ「世界と自分を掴みに行こう 第二弾」の開催報告は作成中であろう。次号に詳細を報告したいと考えており、今の気持ちは「乞うご期待!」なのである。

 

2013年12月
特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権
理事長 若生 治友