第2部 徹底討論
「薬の承認制度を知ろう-薬機法改正の問題点と課題-」概要報告
特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権 事務局 景山 千愛
はじめに
全国薬害被害者団体連絡協議会(以下、薬被連)は、1999 年10 月22 日に結成され、翌10 月23 日には、第1 回薬害根絶フォーラムが開催されました。薬害根絶フォーラムでは、毎回第1 部に「薬害被害の実態報告」がなされ、第2 部では、その時々のトピックスを取り上げたディスカッションを行っています。
今回の薬害根絶フォーラム第2 部では、「薬の承認制度を知ろう—薬機法改正の問題点と課題—」というテーマで議論がなされました。簡単ですが、概要を報告します。
最初に司会(薬被連代表世話人:花井十伍氏)から、薬機法改正に関する経緯・目的、医薬品行政、承認のプロセス等々について前説がなされ、その後、薬機法改正の問題点と課題について、各パネラーとディスカッションが行われました。
第2部「薬の承認制度を知ろう-薬機法改正の問題点と課題-」
司会(薬被連代表世話人:花井十伍氏)
●薬事法から薬機法へ
平成26(2014)年11 月25 日付けで、薬事法が改正されて、名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」(以下、薬機法)になりました。
薬機法の附則では施行後5 年をめどに見直しを行うと規定されています。2019 年は施行から5 年が経過するため、今年4 月に薬機法改正に向けた議論が始まりました。
●薬機法改正の議論の方向性と徹底討論の目的
1990 年代から2000 年代にかけて、海外の承認薬が日本では承認までに時間がかかるというドラッグ・ラグという問題がありました。最初は、「未承認薬を早期に承認してしまうと健康被害が起きてしまうのではないか」、そのためには「十分な審査が必要」(=ドラッグ・ラグはやむなし)という薬害再発防止の観点からの声が大きかったのですが、その後、「ドラッグ・ラグを解消し、必要な患者さんに医薬品を届けるべき」という早期承認を目指すような気運になっています。
このような「医薬品は早く承認する方がいい」という流れの中で、2019 年薬機法が改正されることになっているため、第2 部では、医薬品の早期承認の問題と承認制度がどのように行われるのがいいのか」という討論を取り上げることにしました。
●医薬品の販売と薬事行政の役割
製薬企業が、医薬品として売らせてほしい場合、医薬品としての承認申請を行ないます。そして国が承認して初めて、医薬品として販売できます。
例えば、小さなタブレット端末をFacetime* もあるからスマートフォンですと売っても構わないのですが、そのうち「あれはタブレットPC でスマホじゃないよね」と消費者が判断して、場合によっては淘汰されてしまうというのが一般的です。
* Apple 社製のスマートフォン、iPhone 同士で通話ができるアプリ しかし、医薬品をそんなふうに売ってしまっては、健康被害や有害事象など大変なことが起きる可能性があります。繰り返し薬害が起きていますから、医薬品については、薬事行政が規制行政(警察的な機能)として機能することになります。
【図1】 厚生科学審議会 平成30年度第3回医薬品医療機器制度部会 参考資料2より
【図2】 厚生科学審議会 平成30年度第3回医薬品医療機器制度部会 参考資料2より
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