第32回日本エイズ学会学術集会・総会「Legend of AIDS Community」開催報告 | ネットワーク医療と人権 (MARS)

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第32回日本エイズ学会学術集会・総会「Legend of AIDS Community」開催報告

「Legend of AIDS Community-エイズ勃興期を駆け抜けた人々-」に携わって

特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権 理事 大西 赤人

  

 今回の日本エイズ学会学術集会・総会では、一般公開HIV /エイズ啓発特別イベント「メモリアルキルト& フォト展 Legends of AIDS Community -エイズ勃興期を駆け抜けた人々-」に実行委員の一人として携わりました。1980 年代初頭、人類に、ひいては日本に襲いかかった死をももたらす未知の病=エイズに対し、それぞれの立場で立ち向かった「レジェンド(故人)」たちの存在を振り返ろうと試みた企画です。
 今、当事者、医療者、支援者……立場や背景は違えども、何らの治療法もなかった絶望的な時代に、疾病そのものばかりでなく、社会の偏見や差別とも闘った彼らの足跡は、歴史の中に埋もれさせてはならないと思います。
 メモリアルキルトは現物を掲示することが出来ましたが、A ゼロ判の大型フォトパネルに関しては、材料となる写真を改めて探さなければなりませんでした。故人を知る人の連絡先が判らなかったり、何とか関係者を見つけ出しても写真を持っていなかったり、苦労がありました。スナップ写真に甘いピントで写っているだけの横顔をトリミングし、" これがパネルになるのだろうか? " と思いながらも、" 貴重なショットなのだから" と作業を進めたりもしました。
  また、紹介のキャプションは、「レジェンド」周辺に居られた故人を良く知る方にお願いして、新たに書いていただきました。単純な略歴ではなく、ひとりひとりの実像の一端を伝えてくれる文章になったものと思います。
  12 月1 日、2 日は大阪市中央公会堂で一般展示が行なわれ、併せて2 日、3 日、4 日の学会場でも一部のキルトとフォトパネル(A1 判)が展示されました。辰野金吾が設計に関わったという中央公会堂には初めて足を踏み入れましたが、壮麗な3階中集会室に並んだ「レジェンド」は、厳粛な重みを持って静かに佇んでいました。一方、国際会議場12 階のクローク横に置かれたキルトとパネルにも、賑やかに行き交う学会参加者の多くが立ち止まり、目を留める様子が見受けられました。
  残念ながら今回、どうしても連絡がつかなかった例、あるいは、連絡はついたものの遺族の方が展示を固辞された例もありました。もちろん、その他にも、たくさんの「レジェンド」がエイズと闘い抜いたはずです。今後とも、それらの人々の生きた証を私たちの記憶に刻んで行きたいと思います。